「小出監督追悼」 珠玉の言葉をまとめてみました

初心者向け

平成の終わりとともに女子マラソン界の名監督、小出義雄さんがこの世を去りました。

遅ればせながら追悼の意を込めて、珠玉の言葉をまとめてみました。

一つのことに打ち込んでこそ、いい仕事ができる。

あれこれ手を出すとどれも中途半端になってしまうという考えを持たれていて、有森選手がオリンピックを終えるまで大好きなタバコを我慢していたこともあるのだそうです。

諦めたらそこで終わりだぞ。「もう限界」と思うその一歩先を踏み出してみろ。

ここが限界と思っても、それは自分が決めた限界に過ぎないので、前向きに捉えて半歩でも踏み出し殻を破ろうとすることで成長が待っているはずということです。

マラソンは血で走るものだぞ。

よく食べて、よく寝て、血液の質を良くしないとマラソンは走れないよ、という意味です。食べる量を減らすダイエット方法にも反対派で、私も過去に体調を崩した経験があり同感です。

苦しい顔はしてもいいけど、嫌な顔はするなよ。

苦しい顔や辛い顔、頑張っている姿は思わず応援したくなるもの。しかし嫌な顔は人を不愉快にして信頼してもらったり応援してもらいにくくなる。いつも周りに感謝して誠意を見せるようにしようということです。

今は山を降りよう。次にオレが、もっと高い山に登らせてやるから。

セビリアでの大会の朝、じん帯の痛みを抱えた高橋尚子さんに棄権するよう説得した時に言った言葉です。逆境の時こそ本当の目的を見失うことなく、必要であれば後退する。逆に勝負への貪欲さを感じるエピソードですね。

負けは負けだよ。もう後ろを振り向くな。

アトランタ五輪をかけたレースで転倒してしまい惜しくも切符を逃した吉田直美選手にかけた言葉です。不運を嘆く「タラ・レバ」の気持ちが残っていると、その後の競技や人生に悪影響が残ってしまうという考えから、わだかまりを取り除くために言ったということです。いつでも前に向かおうとする強さを感じますね。

「成功できるかな?」ではダメだ。「何が何でも成功するんだ!」という信念があってはじめて成功するんだ。

実業団の監督になろうとしていた頃「オリンピックで金メダルをとる選手を育成する」と宣言し随分笑われたそうです。でも2番手でいいという妥協の気持ちがあると達成はできない、何が何でもやり抜くという気持ちでないと後悔が残る、選手にそんな思いをさせてはいけない、という気持ちから「絶対に金メダルをとる」と言い続けてきたそうです。

妥協をしない、という言葉はまさに「言うは易し・・」の代表格ですね。

私なりに小出監督という人となりを一言で表現してみると「選択と集中」の人であったと言えるのではと思います。結果から逆算して努力の方向性を決めたら、あとはひたすら前を向いてとことんやり抜く、といった姿勢が見えてきます。

マラソンしかり人生についても、目標の達成に向けては同じことが言えそうです。

やるべきことを決めて継続する、という普遍的な目標達成のメソッドを体現してくださった小出さんに感謝し、心からのご冥福をお祈りいたします。