マラソンの練習にはビルドアップが最適!その効果とメリットとは

初心者向け
ラック
マラソンの練習をしているけど、ジョグばかりで飽きてきたな。
そろそろタイムもアップしたいし、よく聞くビルドアップ走とかしてみようかな。
でもどうやって練習するんだろう?
そんな疑問にサブスリーを7回達成した著者がお答えします。

ビルドアップってどんな練習?

徐々にペースを上げることにより心肺機能に負荷をかけるトレーニングです。
始めは余裕のあるペースで入り、最後の1~2kmは息が上がるペースまで引き上げます。
体を温めながら実施するため、特に血液循環系に急激な負荷を与えることなく、徐々に準備時間を与えながらになるので、心肺への無理な負担がかかりにくくなります。
そのため、いきなり高強度のペースに上げるトレーニングに比べて、肉体的にも精神的にも取り組みやすく成功率が高くなると言えるでしょう。

ビルドアップ走のやり方を教えて!

例えば、距離は5km、ペースをキロ4分30秒でフィニッシュする場合、最後の1~2kmで気持ちよく追い込めるようにペースを設定し、1km毎にペースアップしていきます。
  • 0~1km:5分10秒
  • 1~2km:5分00秒
  • 2~3km:4分50秒
  • 3~4km:4分40秒
  • 4~5km:4分30秒
入りのペースについては、ウォーミングアップを兼ねるのであればスロージョグ程度でもOKです。
距離を10kmに伸ばすときは2km毎にペースアップすると良いでしょう。
ビルドアップ走をうまくやりきるコツですが、無理にはペースを上げないこと。
楽なペースで入って、気分に合わせて気持ちよく、自然にペースアップすることがビルドアップ走を成功させるためのポイントです。

ビルドアップ走ってどんなメリットがあるの?

ビルドアップ走は故障しにくい

ゆっくりスタートするため、最初の2~3kmはウォームアップを兼ねており、いきなり筋肉や健に鋭い刺激を与えることがないため故障を発症しにくいトレーニングです。

時短になる

最初の数kmをウォームアップと割り切ってしまえば、別にウォームアップ時間を設ける必要がありません。
そのため、時間がないときでも実施しやすいと言えます。

無理せずに心肺に負荷をかけることができる

少しずつペースを上げながら、体の調子と相談しながら進めるため、インターバルやレペティションなど早い設定ペースに急激に引き上げる練習に比べると、体の調子に合わせて行うことができます。
ペースが自然に上がっていく感覚を楽しみながら、どこまで追い込めるかな?というワクワク感とともに心肺を鍛えることができます。

疲労が残りにくい

体に準備時間を与えながら進めるため、練習後のダメージも深くはなりにくいのがビルドアップ走の特徴です。
心肺を追い込む区間も後半に集中しているため、負荷の高い状態は長くは続かないことも要因の一つです。

ビルドアップ走は継続しやすい

スピード練習は精神的に厳しいものが多く、一人でやろうとすると辛くて続かないことがあります。
その点、ビルドアップ走は楽なペースで始めてみて、調子が上がらなければ途中からジョグに切り替えることもできますので、トライしやすく取り組みやすい練習です。
また、ビルドアップ走の山場はは後半のみとなりますので、前半はなるべくリラックスして気楽に走ることを心がけて後半に意識を集中すれば、トレの成功率も上がり効果も得やすいでしょう。

今の実力を把握しやすい

既にお気づきかもしれませんが、前半ゆっくりで後半に上げるというペースマネージメントは「ネガティブスプリット」と呼ばれており、特にマラソンのレースにおいては一つの理想と言える配分となります。
そのため、本番さながらのシミュレーションという位置づけにもなり、どのペースであれば余裕を持てるのか?どれくらいまでペースアップして維持できるのか?という今の実力をトレの中で確かめることができます。
レースや他のスピード練習を行う際にも、ペース設定は非常に重要となりますので、まずはビルドアップ走で自分にあったペースを見つけてみてはいかがでしょうか。

短時間でも効果を得やすい

無理なく、無駄なく体に負荷をかけるため、最短時間で効果を得ることができます。
特に忙しくて練習時間をとることが難しい人にとっては、週一回、1時間程度のトレでスピードを維持できるというのはありがたいですよね。

ビルドアップ走で得られる効果とは?

スピード持久力が向上する

距離を踏みながらペースアップをするため、スピードを維持する力が身につきます。
前半、中盤もしっかりとペースを維持することで、レースで即使える持続的なスピードを身につけることができます。

ペースダウン低下を防ぎ、後半に強くなる

レースペースを探りつつ、体と相談しながら気分よくペースアップをするため、攻めてOKな場合と、NGな場合に対する体の感覚が鋭くなります。
結果、無駄に攻めて後半の脚が売り切れるということもなくなり、鍛えたスピード持久力を存分に発揮することで、レース後半でより力強い走りを続けることができるようになります。

心肺機能の向上

息がぜーぜーと上がってくるポイント、LT(乳酸性作業閾値)の上限を引き上げることができます。
AT値(無酸素性作業閾値)と分けて扱われることもありますが、ほぼ同義としても問題ありません。
無酸素性のエネルギー代謝が間に合わず、有酸素性エネルギー代謝で賄い始める閾値のことです。
この閾値を超えると、体内のグリコーゲンや脂肪をエネルギー生成するため、酸素を求めて呼吸が苦しくなってきます。
この閾値付近でトレーニングすることにより、LT(AT)値を引き上げることができ、レースでも楽に効率的に走ることができるようになります。

まとめ

マラソンのトレーニングは長く、スピード練習は強い精神力を必要とすることもあります。
その点、ビルドアップ走であれば比較的簡単にスピード持久力を維持するためのポイント練習を実施することができます。
実際にマラソンのレースに挑むには、ビルドアップ走に加えてLSDなど距離を踏むトレーニングが必要とはなります。
しかし週一回程度のビルドアップ走を軸に考えると、見通しが立ちやすく計画も楽になりそうですね。