「サブスリー」達成は市民ランナーの最終目標のように言われることもありますが、取り組み方によっては実現可能な目標タイムとなります。
確かに今現在のベストタイムが5時間台であれば、1年後にサブスリーを達成することは困難かもしれません。
それに十分練習を積んだとしても、本番では緻密なペースマネージメントが必須となり、サブスリー達成率を下げている大きな要因です。
しかし、達成できるかできないかは0か100かの話ではなく、何パーセントくらい達成の見込みがあるか、その確率をどれだけ高められるかという、ベターな方向にシフトさせていく取り組みの積み重ねの結果となります。
個々のタイプに合わせて最適な取り組みを続けることで、少しずつ目標タイムを上げていき、サブスリーを射程圏内にとらえていきましょう。
サブスリーに必要なペース・走力
1キロを4分15秒でフルマラソンを走ると、だいたい2時間59分20秒くらいになります。
そのため、「キロ4分15秒」をトレでも意識していきましょう。
キロ4分15秒を42kmに渡ってイーブンペースで維持することが理想ですが、後半の落ちに十分備えたトレをやり切らないとと多少のペースダウンは止むをえませんので、少し余裕を見て無理のないペースで貯金をしながら走りましょう。
ではどれくらいのペースで突っ込んでいけばいいのか。
キロ4分まで行くと、2時間50分切りランナーと同じペースになってしまいますので、サブスリーを目標とする人にとってはオーバーペースの可能性があり危険です。
「キロ4分10秒」、欲を言えば「キロ4分5秒」で30km走り続けられる走力を身につけることができれば、サブスリー達成にかなり近づいたと言えるでしょう。
スピード型の人の取り組み方
サブスリーという目標に対して、十分なスピードを持っている人は、後半落ちない持久力に重点をおいて取り組みましょう。
5kmで言うと17分前半のタイムを持っている人、キロ3分30秒で5km~10kmを走ることができる人にとって、キロ4分5秒というのは決して苦しいペース設定ではないはずです。
ペース設定に余裕があれば、あとはその分、スピード持久力の向上と、30km以降のペースダウン対するトレに取り組みましょう。
最もおススメするのは、キロ4分5秒での20kmペース走。そして、翌日にLSDを2時間以上実施することです。
レースペースで20km走を実施することで、レース前半に貯金を作るためのペース設定に体を慣れさせることができると同時に、ペース設定の上限を高めることができます。
そして翌日LSDに取り組むことで、レース30km以降に脚が止まってしまう現象「30kmの壁」を抑え込むことができます。
LSDについてはこちらで紹介しています。
大会1カ月前には、「キロ4分10秒」で30km走を実施しておきましょう。よりサブスリー達成の確実性を高められると思います。
持久型の人の場合
では5kmのタイムが19分前後の人はどうでしょうか。キロ3分45秒で5km~10kmを走ることができる人にとって、マラソンで「キロ4分」というペース設定は少し速すぎるかも知れません。
そのため、スピード持久力は維持しつつ、今度は逆になるべくスピードを高めていきましょう。
ただしスピード練習は故障との付き合いになりがちですので、取り組み前に十分体が温まっていることが必須条件となります。
ウォーミングアップ、ストレッチを入念に行うとともに、トレーニングメニューもインターバルやビルドアップなど、足の調子を見ながらプラン変更しやすいメニューにする事で故障を未然に防いでいきましょう。
大会10日前に卒業検定トレを
いずれのタイプの方も大会前の仕上げとして「ソツケン」に取り組まれることをオススメします。
方法についてはこちらで紹介しています。
ソツケンをクリアできれば「キロ4分15秒」設定で本番に臨んでみましょう。
逆にソツケン落第の場合は目標タイムを3時間5分、10分などに下げて、後半に余裕が出ればネガティヴスプリットを狙いましょう。
ただし、サブスリーが惜しい段階まで走力がついていて1ヶ月後や2ヶ月後に次のフルが控えている場合は考え所です。
サブスリーのペース設定で沈没したとしても、次の大会への参考材料となるからです。
タイム的には捨てレースとなり、地獄を見ることにもなりますが、体の限界を超えることで体力の底上げをすることもできます。
伸るか反るか賭けにはなりますが、次につながるという意味では損になることはありませんので、個人的には突っ込んで行くのが良いかと思います。
サブスリー達成までは長い道のりですが、迷わなければ不可能な目標ではありません。
個々の特性に応じて最適なメニュー設定を模索して取り組んでいきましょう。