サブスリーは市民マラソンの大会で上位5%前後の狭き門で、市民ランナーの最終目標にされることも多いですよね。
ではサブスリーを達成するランナーは数字通りの難易度を裏付けるトレー二ングにどのように打ち込んでいるのでしょうか。
今回は月間走行距離を切り口に見ていきましょう。
月300kmは必須ではない
サブスリー達成のためにどれくらいトレーニングが必要か?という問いに対して、月間走行距離にして300km以上は走り込みたい、という回答を良く見かけます。
私は7回サブスリーを達成しているのですが、月間平均は250kmくらいで、300km以上走ったことは数えるほどしかありません。
確かに、走行距離はある程度走力の目安となるのですが、それ以上に大切なのが実施のタイミングとトレーニングの内容です。
タイミングと内容が外れていれば、月500km走ったとしても、サブスリーを達成できるとは言い切れないでしょう。
サブスリー達成可能性の目安として、本番10日前にソツケンと呼ばれるビルドアップを成功させることができれば、サブスリーにチャレンジしてもOKです。
ソツケンとは
- 0〜5km:キロ4分15秒
- 5〜10km:キロ4分00秒
- 10〜15km:キロ3分48秒
なんとなくお分かりかと思いますが、ジョギングだけで月500km走ったとしても、ソツケンをパスすることはおそらく不可能です。
忙しい中時間を割いて一生懸命トレーニングしても、念願のサブスリーに到達できないというわけです。
ではどのようにソツケンをパスしてサブスリーへの挑戦権を手にするのか。
5ヶ月前からの月間走行距離の推移とともに見ていきましょう。
大会5ヶ月前~3ヶ月前
この時期は走りこみをしていきましょう。
マラソンの準備として3ヶ月前からスタートすればOKという意見もありますが、サブスリーについて言えば遅いでしょう。
既にサブスリー達成済みで、月間300km近く走りこみを続けていれば、調整は3ヶ月前からでも間に合いますが、そうでなければ5ヶ月前からは準備が必要です。
週に一回を目標にビルドアップかインターバルを織り込みながら、週末にLSDを実施しましょう。
ポイント練習10km、LSD15km。休養日が1日で、それ以外の4日間は10kmジョグしましょう。
これで週間65km。月間270~290kmとなります。
走りこみの時期ですので、300km近く距離を踏むことにはなりますね。
LSDの代わりに山に入ることもおススメします。
この時期の努力はあなどれませんので、故障しないようにしっかり距離を稼ぎましょう。
大会3ヶ月前~2ヶ月前
少しずつポイント練習を増やす時期となります。
週一回行っていたビルドアップ、インターバルに加えて、週末は10kmペース走を取り入れましょう。
ペース走10kmの翌日にはLSD15kmを実施し、その翌日は完全休養。平日にインターバル1000m×5本を実施して、それ以外の3日間は5kmジョグで疲労を抜いていきます。
これで週間50km。月間210~230kmとなります。
スピード練習を織り込むながら故障を防ぐために、距離は一旦減ることとなります。
大会2ヶ月前~1ヶ月前
30km走の実施に向けて、ペース走の距離を増やしていく時期となります。
平日のポイント練習は、ペース走の動きを良くする目的のため、1000m×5本がきつい時には400m×10本に切り替えても問題ありません。
週末のペース走の距離を10km、15km、20km、25kmと増やしていきましょう。翌日にはLSD15kmを実施するようにします。
休養、ジョグは前月と同じで、月間240~260kmとなります。
大会1ヶ月前~本番
4週間前はいよいよ30kmの実施です。
週間メニューの流れは前月と変わりません。
週末のペース走を30km、20km、10km、5kmと減らし、翌日のLSDも3週間前からは10kmジョグに切り替えて大会まで疲れを持ち越さないようにしましょう。
そして本番10日前に「ソツケン」実施です。14日前に10kmペース走がありますが、ソツケンに向けて疲労が残りそうであれば、ペース走を5kmにするなどし、調整をしてください。
最終週は5kmのジョグと4日前に軽めのインターバル400m×5本など実施すると、大会当日体の動きが良くなって良いでしょう。
これで本番を除いて、月間210~230kmとなります。
最後の月がやや多めと思いますので、2週間前からは疲労度合と相談して距離を減らしながら調整をしましょう。
距離にこだわるよりも、スピード練習を組み合わせることが重要
ソツケンに至るまでに、かなりのポイント練習をこなす必要があることがお分かり頂けたかと思います。
その結果、月間走行距離としては300kmを下回ることがほとんどでした。
本当に必要な練習量に絞れば、この距離でもスピード持久力と30kmの壁に対する備えを確保することが可能です。
しかしこれらの内容を漏れなく実施するには、その水準に体を引き上げるための綿密なスケジューリングと、それらを実施する強い意志が必要となることがお分かり頂けるかとおもいます。
月間走行距離はその結果としてついてくるものですので、まずはトレーニングメニューのポイント練習の割合や組み合わせ方を分析することが先決となります。
参考にしてぜひサブスリーのドアを叩くための一助としてください。