アルファフライ ネクスト%は耐久性もアップ?サイズ感や最適な走法は?

装備・アイテム

先日、今季のレース用シューズとして注文した ナイキ エアズーム アルファフライ ネクスト% が届きましたので、実際に履いた感想も交えてレビューしてみます。

アルファフライってどんな靴?

2019年10月にウィーンにてケニヤ出身のエリウド・キプチョゲ選手がフルマラソンで1:59:40を記録し、非公式ながらも人類初の2時間切りを達成しました。

この時に履いていたのがアルファフライの試作品で、その後に変更された陸連の規程に沿ってソールの厚みと内蔵のカーボンプレートの枚数や形状に変更が加えられました。

一般発売のモデルでも20年3月の東京マラソンにてナイキオレゴンプロジェクト所属の大迫傑選手が、自身が持つ男子フルマラソンの日本記録を再更新し、女子フルマラソンにおいても同じ3月の名古屋ウィメンズマラソンにてにてワコール所属の一山選手が日本歴代4位の記録を叩き出し五輪代表に滑り込みで内定するなど、このシューズのよる記録ラッシュはまだ始まったばかりという感じです。

ではどういったシューズなのか、詳しく見ていきましょう。

アッパー

アトムニット

アッパーにはアトムニットという新素材が使われており、向こう側が透けて見えるほど軽量に作られています。

ニットというと以前ズームフライ2でフライニットという素材が使われましたが、今回の素材はフライニットよりもしっかりとしており、装着時の安定性がアップしています。

シューレース

シューレースの配置は前作のヴェイパーフライ ネクスト%と同じく、中央からずらすことで足への圧迫を軽減するように配慮されています。

紐自体にもアップデートがなされており、細かいヒダがあることで解けにくいシューレースに生まれ変わっています。

ヒールカップ

ヒールカップは前作と同じように外側へ折れ曲がるようになっており、アキレス腱への接触のストレスをなくしています。また同時に、ガードのパーツを配置することでヒールの安定性を両立させています。

ミッドソール

ズームX

ミッドソールは軽量かつ反発性に優れたズームX素材が使われています。

フルマラソン2時間切りを達成したプロトタイプ版よりもやや薄くなりましたが、陸連の規定ギリギリまで厚くしています。

着地時の衝撃を吸収して蹴り出し時の反発力を最大限に活かす素材となっています。

エアーポッド

アルファフライの代名詞ともいえるのが、このエアーポッドという衝撃吸収&反発を担うパーツです。

フォア部分に左右2つずつ計4つ配置されており、内部は高圧エアーが充填されていて上下に強く張った繊維が内蔵されています。

着地時にこの繊維が収縮して衝撃を吸収し、元に戻ろうとするエアーの力で反発を得る仕組みとなっています。

カーボンプレート

前作ヴェイパーフライとズームフライ2と同じくカーボンプレートが内蔵されており、強い反発と推進力を生み出してくれます。

前作からのアップデートとしてはサイズごとにプレートの厚みを変えており、よりきめ細かく体重に応じた反発力が得られるように設計されています。

アウトソール

フォア部

フォア部分は硬めの素材が使われていて、表面はオフロード車のタイヤを思わせるパターンが刻まれおり、グリップ力が強化されています。

フォア部の中央には巨大なホールがあり、不要な部分を削ることで軽量化するとともにカーボンプレートの表面に刻印された「FLYPLATE」の文字が見えるようになっていて、遊び心も感じさせるデザインとなっています。

ヒール部

ヒール部分は前作と大きくは変わらないデザインとなっています。色が目立ちませんが左右に配置されたパーツは耐久性を持たせた固めの素材となっており、滑り止めのパターンが施されています。

前作からソールの厚みは増え背が高くなりましたが、横幅や形状は大きく変わらないため、ヒールストライク着地の安定感やカーブの走行性については前作からあまり改善されていない印象です。

重量

サイズ26cmで片足200gを少し超えるくらいでした。ヴェイパーフライよりは20gほど重くなっておりますが、レースでも問題なく使用できるレベルと言えそうです。

タグをとった後も左右で若干重さが違いました。3グラムなので、たぶん誤差の範囲なんでしょうね。。

雨への耐性

フライニットは雨で重くなるという欠点がありましたが新素材は保水しにくくなっており、向こう側が透けて見えるほど薄いため、シューズの中に水がたまる心配は無さそうです。

アウトソールもパターンが深くグリップが強化されているため、滑り止め対策も万全。

大雨の名古屋ウィメンズで一山選手が好記録を出したことからも雨天対策が活かされていると言えそうです。

サイズ感

ヒール部の前後に付いているわっかを引っ張りながら、グイっと足を差し込むと足首回りを中心に程よく締め付けるフィット感がありました。

足入れしてみたサイズ感は、いつも履いているヴェイパーフライ ネクスト%よりも、ほんの少しですがゆったりと感じました。かといって、ワンサイズダウンさせるほどでは無かったです。

紐を締め付けると、ヴェイパーウィーブ素材よりもアトムニットが柔らかいようで、紐による固定が少し痛く感じる部分がありました。

私は右足のサイズが左よりも5mmほど小さいので、右足の固定は紐に頼っているのですが、そういった場合にはヴェイパーフライの素材の方が固定感があるなと感じました。

履いて動いてみると足に吸い付くような形状になっていて、ズームフライ フライニットで感じたような緩さはあまり無かったです。

履いてみた感想

私も実際に履いて、10kmジョグと800m×5本のインターバル走で感触を確かめてみました。

ジョグではフワフワとした感覚で、前作ヴェイパーフライよりもさらにクッショニングが強化されていることが分かりました。

インターバル走では、走り始めて直ぐに「重いな・・」と感じてしまいました。評判では反発が強すぎて重さが気にならないと聞いていたので期待値が高まりすぎたのかも知れません。

走り始めのつま先で加速するときは、エアーポッドの反発を強く感じました。やはりフォアフット向けなのかも・・?

あと、ミッドフットで着地したときは、前方向へシューズの動きがガイドされるような安定感がありました。

着地や走法を色々と変えながら800mを数本トライしてみましたが、ヴェイパーフライに比べて重いな・・という感じは最後まで消えなかったです。タイムも平凡で、ヤッソ800も5本で断念・・

ただ、後日談として私のアルファフライはエアーポッドの一つに不具合があったらしく、あえなく返品となりました。正常な状態であれば、もっと反発を実感できたのかも知れません。

あと、ジョグとインターバル走で20kmを走ってみて気づいたことですが、アウトソールの摩耗がとても早そうです。タイヤの溝のように突起していた部分がえぐれるように削れていて、ツルツルになるのも時間の問題。。

 

たぶんフルを2本くらい走ったら、部分的には平らになってしまうような気がしました。

履いて分かった長所と短所

長所

さらに厚みを増したズームXと、新パーツのエアーポッドにより反発力が向上しました。

また、エアーポッドはズームXよりも耐久性があることから、シューズ自体の寿命も延びているそうです。

私が今履いているヴェイパーフライ ネクスト%は700kmほど走っていますが、まだまだペース走でも使えるくらいの反発やクッション性は残っています。そこからすると、もはや「ナイキの厚底は寿命が短い」という定説は通じなくなっているのかも知れません。

走り方や利用の用途にマッチすれば、前作をもしのぐリーサルウェポンとなりうるポテンシャルはありそうです。

短所

ヴェイパーフライよりも重量が増えたことや、左右の安定感も少し損なわれたことは前作からのマイナスと言えそうです。

また、ソールの素材と形状により、非常に摩耗が早いということも分かりました。ただ、フォア部がツルツルになってもロードではグリップするだろうと思いますので大きな問題では無さそうです。

まとめ

ズバリ、フォアフット~ミッドフット走法をマスターしているランナーにとっては最強の武器となるのではないでしょうか。

お値段はヴェイパーフライ ネクスト%より少し高くなりましたが、反発も向上し寿命も延びているのならコスパは上がっていると言えそうです。

一方で、ヒール寄りで着地する方や、初心者から中級者の方については、ヴェイパーフライ ネクスト%の方がアドバンテージを得やすいのではないかな・・というのが率直な感想でした。

私はヒールストライク走法とミッドフット走法の中間くらいで接地するのですが、エアーポッドにしっかりと体重を乗せられてない気がして、上手く機能を使いこなすことが出来ず、むしろ重さが気になってしまいました。

露出したエアーポッドのおかげで模倣品の防止にもなっていると思いますが、個人的には隠してもいいから同じ機能で軽量モデルを作ってもらいたいなと、思ってしまいました。

以上、高額なシューズですので、ご参考になれば幸いです。