ズームフライ3 の間違った使い方

装備・アイテム

ズームフライ3を買いました。

今期の初戦、淀川市民マラソンまであと1ヶ月半なので、練習不足に喝を入れようとお小遣いをはたいてネットで購入。懐がイタタ・・

せっかくなので今期のレースやトレでの使用を検討されている方に向けてレビューします。

筆者は過去に7回サブスリーを達成しているので、ある程度の信頼性を持って感想をお伝えできるのではと思います。

ズームフライ3 が優れている点

 フィット感

事前にお店でフィッティングしていたのでサイズは問題なし。

ズームフライシリーズを初代、2代目(フライニット)と履いてきて、最もフィット感に優れているなと感じました。

シューレースを締めると、足全体が包まれるようにフィットします。

この感覚は新鮮で、普通はヒモによる締め付けは局所的にキツく感じるのですが、このシューズは足のアーチ全体を気持ちよく締め付けてくれて快適そのものです。

シューズと足が一体化したようで、リアクト素材のクッショニングやカーボンプレートの反発性も性能を発揮しやすくなっていると感じます。

 グリップ

ヴェイパーフライネクスト%とほぼ同じアウトソールは、しっかりと地面をつかんで滑りにくくなっていることを実感できます。

特にフロント側のアウトソールはパターンが深くなっていて、濡れた路面でもあまり不安を感じません。

 反発性

2作目のズームフライ フライニットと同じく、ミッドソールはリアクト素材を用いていて、カーボンプレートも入っています。

ただ、フロント側の厚みが増したことにより、反発力とクッション性は向上しています。

ドロップ差も11mmから8mmと小さくなったことで、よりフォアフット、ミッドフット着地がしやすくなりました。

ドロップ差が小さいレーシングシューズとの併用にも適していますね。

雨天への耐性アップ

アッパー素材はヴェイパーフライ ネクスト%と同じくヴェイパーウィーブという水分を吸収しにくい新素材を使っています。

そのためフライニットなどと比べて雨天でもシューズが重くなりにくくなっています。

前述のグリップ力も雨天対策として向上したポイントです。

デザイン

前作まではシンプルイズベストといいますか、ムダを削ぎ落としたミニマルなデザインが特徴的でした。

記録に対するストイックさと機能美を主張していましたが、、

ズームフライ3 はこれでもかというくらいデザインが凝っています。

直線的なラインは鳴りを潜め、さらにシェイプアップしたくびれの様な曲線が目立つ様になりました。

空気抵抗を減らす目的のカカトのとんがりも今までより鋭くなっています。

また、アキレス腱の付近は肌に触れない様に外側に開く様に剃っていて、靴擦れを起こしにくくなっています。実際、私の場合は2作目フライニットを裸足で履いたときに靴擦れしましたが、3作目では裸足で履いても靴擦れしませんでした。

近未来感さえ漂うのに、機能性に裏付けられた、わざとらしさの無いフォルム。走る前からテンションが上がりますね。

ズームフライ フライニットより劣っている点

 重量増

前作、前々作と比べて20gほど重くなってしまいました。

もともと軽いシューズではなかったので、トレーニングからレースまで通して使用するには、少し検討の余地がありそうです。

 価格

発売間もないこともあり、わりとお高いです。

同じくらいの値段か、もっと安いお値段でクッション性に優れてサブスリーも狙えるターサージャパンを入手できますね。

前作ズームフライ フライニットも1万円以下で入手できるようになってきましたので、それらのシューズとしっかり比較検討してから購入するのがコスパ的には良いでしょう。

反発を得るための接地角度がシビア

反発力を推進力に変えることが売りのシューズですが、誰もが簡単にその恩恵を受けられる訳ではなさそうです。

ドロップ差が小さくなっていることからも分かる通り、完全にビギナー用に作られたものではなく、ある程度走り込んでいてミッドフット寄りの着地がコントロール出来る人の方が性能を発揮させやすいと思います。

その理由は、ミッドソールに使われているリアクト素材と、カーボンプレートにあると思っています。

リアクトは、歩いているとジワリと柔らかく感じられるのですが、走ってみると意外と硬く、クイックな反発を返してきます。

また、シューズを手に持って、グイッと曲げようとしてもほとんど曲がらないことから分かる通り、カーボンプレートも非常に硬く、着地から反発までの時間を短くする要因となっています。

さらにズームフライ3になってからは、アッパーのフィット感も向上してますので、着地から反発までの間にシューズ側で「ためる」要素が少なくなっており、「点」での着地を期待する様なチューニングがされていると感じます。

もちろん踵着地でも十分楽しめるシューズですが、ミッドフット付近での性能発揮を期待して作られたのかなと思います。

ズームフライ3 の最適な使用方法

サブ4、サブ3.5狙い

ズバリ、サブ3.5〜4狙いの方におススメです。

理由は、履きこなすにはある程度の走力があった方が良いということと、故障の予防を期待出来ることです。

サブ4レベルのランナーであれば、ミッドフットの接地を試すことも可能でしょうし、かといって180g前後のレースシューズでフルを走りきることは、まだ難しいかもしれません。

そのため、トレーニングから慣れ親しんだシューズでそのまま記録を狙いに行く、という使い方に合っているのではないかと思います。

トレーニング

サブスリーランナーには用が無いシューズかというと、そんなこともありません。

トレーニング用としても真価を発揮してくれることでしょう。

理由はやはり反発性とドロップ差。

クイックな反応はポイント練習にも使えますし、ドロップ差が少ないため、レース用の本命シューズが薄底・軽量タイプの場合でも、特に接地感覚に違和感を感じることなく併用できるでしょう。

ズームフライ3 の間違った使い方

サブ3狙い

サブ3を狙うフルのレースでズームフライ3を使うことはあまりおススメしません。

理由はやはり、250g前後という重さにあります。

サブ3を狙う本命シューズは、エネルギー効率の面からも200g前後が最適と思っていますが、ズームフライ3は完走するまでのエネルギーロスが大きすぎると思います。

言い換えれば、ズームフライ3でサブ3を達成できるランナーであれば、200g前後のシューズを使った方がよりサブ3達成の確率が上がるだろうと思います。

ズームフライ3でサブ3を狙うことに必然性があるとすれば、クッション性能でしょうか。

例えば故障しがちで、フルを最後まで走り切れるか心配があるけれど、サブ3はあきらめたくないといった場合には、ズームフライ3が出番となるかもしれません。

ただその場合でも、シューズの重量を考えて私ならターサージャパンもしくはズームフライ フライニットを選ぶだろうと思います。

10km以下のレースでの使用

10km以下のレースでズームフライ3を使う場合にも同じことが言えます。

フルに比べて、10km以下のレースは非常に速いペースとなりますので、250g前後のシューズを振り回すのはちょっと厳しいでしょう。

故障などの痛みが心配される場合でも、10kmのレースなら1時間以内で終わりますので、故障がでるかどうか、シューズへの依存度はフルに比べてかなり低くなります。

そのため、より軽量なシューズで臨んだ方が良い結果が期待できるでしょう。

トレイルでの使用

ズームフライ3の進化は、より厚底+グリップ性能向上+雨天への体制アップというワードでまとめられそうですが、こうなってくるとトレランへの適正が気になるところ。

しかしトレラン経験者の私としてはおススメしません。

理由は踵部分の左右の不安定感。

ロード用に設計されている細い踵のソールにより、芝生程度の不整地であっても左右にぐらついて不安定になっています。

トレラン用のシューズ、HOKAの初代スティンソンと比較してみると、横からのフォルムはそっくりなのでトレイルでも使えそうですが、踵は明らかに細すぎです。

踵部分にかけて、ロードには不要なソールを削ぐことで軽量化しているわけですが、その反面、不整地で使用すると常に捻挫のリスクを負うこととなります。

トレラン経験のある方ならわかると思いますが、山奥で捻挫などしようものなら最悪です。片足だけを頼りに人里まで下りることになるわけですから。

3作目でアッパーのフィッティングはかなり向上していますが、それでも不整地をホームとするトレランシューズの安定感とは比較になりません。

あくまでロード用として、たまに芝生走で使う程度の使い方が吉でしょう。

まとめ

いろいろ書きましたが、ひと事で言うととても良いシューズです。

初心者から上級者まで、ジョグからポイント練習・レースまでの範囲をカバーしつつ、故障も防いでくれるシューズはなかなか無いでしょう。

とりあえずおススメの1足は?と聞かれたら、以前はターサージャパンを進めてましたが、今は自信をもってズームフライ3をおススメします。

個人的には、自分にぴったり合っていたHOKAの初代スティンソンが生産されていない現在、代わりになるトレーニングシューズが見つかったので、かなり救われた感じがしています。

皆さんもズームフライ3をうまく使いこなして楽しいシーズンを過ごしてください。